固定資産税と名簿

私たちが住む家、働くビル、遊びに行く商業施設――これらすべてにかかる税金、それが「固定資産税」です。そしてこの税金の仕組みを裏で支えているのが、「固定資産名簿」です。

固定資産税とは?

固定資産税とは、土地・建物・償却資産(工場の機械設備など)を持っている人に対して課される地方税です。
主に市町村が課税主体となり、その収入は地域の公共サービス(道路整備、教育、防災など)に使われます。

納税の義務は、1月1日時点の所有者にあります。

「名簿」がなぜ必要?

ここで活躍するのが、固定資産課税台帳(固定資産名簿)です。
この名簿には、次のような情報が記載されています:

  • 所有者の氏名・住所
  • 土地・建物の所在地と面積
  • 評価額
  • 地目(宅地・田畑・山林など)
  • 用途(住宅用・商業用など)

つまり、「誰がどんな土地・建物を持っているか」を整理・記録した一覧表です。これが正確に整備されていないと、
✔︎ 税金を取りこぼす
✔︎ 二重課税する
✔︎ 所有者不明の土地が増える
といった大きな問題になります。

名簿と新しい課題

近年、少子高齢化や都市部への人口集中で「所有者不明土地問題」が深刻化しています。
相続登記を放置していると、誰が土地を持っているのかわからず、名簿の更新も滞ります。

この結果、

  • 固定資産税が徴収できない
  • 公共事業(道路拡張、災害対策)が進まない
    など、行政運営にも支障が出ているのが現実です。

このため、2024年からは相続登記の義務化(違反すると過料も)がスタート。名簿の正確性を高め、地域の未来を守ろうという動きが加速しています。

名簿は「社会のインフラ」

普段目にすることのない固定資産名簿ですが、これは単なる課税の道具ではありません。

  • 街づくり(都市計画、区画整理)
  • 防災対策(浸水リスク地域の把握)
  • 福祉(高齢者支援エリアの特定)

など、未来のまちを支える基礎情報にもなっています。

固定資産税と名簿は、私たちが安心して暮らすための、見えないけれど欠かせない土台です。
土地や建物を持つ責任、それを正しく記録し、支え合う仕組み――
名簿は社会の「記憶」であり、「約束」でもあるのです。

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